今回のメイン食材は、「キノコと秋味(鮭)」

「鮭」は三代家光の頃には、「奥州の衣川、又越後の国、是れ鮭の名所なり。其ほしたるを楚割(すはやり)、塩引、干鮭など云ふ名あり」という記述が「包丁書録」にあり、名産はその他、水戸、庄内、越前、若狭、松前とか。
松前北海道の松前を本拠地とした蝦夷地の外様小藩「松前藩」でも、「松前船(松前藩に税を納め、その地の産物を運んだ貿易船)」で鮭は、行き来をした事でしょう。
この藩は米を生産出来ないので、石高はありません。
ですが塩干魚や魚肥(他に砂金や木材)などを江戸や大坂に運びましたし、またこの地方では塩干魚を作るのに大量の塩が必要だったので、帰りは播州の赤穂や大塩から「塩」を運んで財をなしたとか。
「鮭」と呼ばれる由来は、身が裂けやすいので「裂ける」からとか。
アイヌ語で夏の食べ物を意味する「サクイベ」「シャケンベ」という言葉がに元になったとか、諸説あります。

鮭は川から海へ出て成魚になって、また生まれ故郷に帰ってくる(母川回帰)のは有名。
もともとは白身魚だったのに、エサでオキアミはともかくも、海老や蟹を食べてる内に(贅沢な!)その身を赤く染めていく魚なんだそうです。
この「赤だいだい色の色素」は「アスタキサンチン」といって活性酸素を除去する事も有名です。

天然の生の鮭にはまた、「アニサキス」という菌が多く見つかるとか。

なので生食をする事は殆どなかったそうですが、マイナス20度以下で24時間冷凍すると死滅する事から、アイヌでは「ルイベ(冷凍保存したまま味わう)」として古くから食べていた他、現在では養殖専門の鮭が多く流通。
・・・こちらは「アニサキス」が付かぬように育てるので、生食も、ぐっと増えたのだそう。
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鮭の卵巣を一つずつほぐして塩漬けしたのが「イクラ」で、ほぐす前の状態で塩漬けしたのが「筋子」。
ちなみに、「イクラ」はロシア語から来ていて、「魚の卵」とか「小さく粒々のモノ」という意味なのだそうです。

また「キノコ」についてですが、とにかく実にたくさんの種類があるので、今回はレシピに使われているキノコを中心にお話してみます。

対象になったのは、椎茸・ブナしめじ・エリンギ・マッシュルーム・舞茸・エノキダケ・ナメコの辺りです。
落葉広葉樹に生えるようで、その樹木はブナや椎、クヌギ、柳やミズナラ・・・などなど。
「秋の茸狩り」は日本人にとっての行楽の一つで、江戸の頃よりも身分・年齢を問わず、枯れ木や木の切り株に生える茸を巡って、さまざまなドラマがあったことでしょう。

気をつけないと「茸の毒」にやられて、酷い時には死に至る時もあります。

・・・ですが「フグの毒」と同じで、「食べて指先がしびれないようでは、茸を食べた甲斐がない」などいう不逞な輩もいたようです。
平安末期の「今昔物語」にある笑茸(わらいたけ)や、室町まで下ればの中毒死の記述もありながら、それでも果敢にも挑戦した日本人たち。
_N0A1620_1特に椎茸は、毒キノコのツキヨタケに似ていたから、普及も他の茸に比べて遅かったとか。
栽培や加工は、江戸の初期に伊豆の天城山周辺から始まったようです。
なにしろ、照葉樹林体で生活する日本人なら、焼き畑農業の時代から「椎の木が枯死すれば、茸が生えてくる」のを知っていました。
天城山一帯では、秋に伐採した樹木に鉈で刻みをつけて栽培する技術が発達しましたし、重要な乾物(つまり、干しシイタケ)は、清国への貿易品としても活用されました。

さきほど挙げた茸の銘柄ですが、エリンギやマッシュルームは、日本古来のモノではありません。

マッシュルームを直訳すると「キノコ」という意味ですし、エリンギはイタリアや南フランスに生息する茸です。
またエリンギは、エリンギウムというセリ科の植物が枯死した処に生えるのだそうで、色々見比べてみると、血液中のコレステロール抑制する「飽和脂肪酸」や、悪玉を減らし、善玉コレステロールを増やす「不飽和脂肪酸」が上記の殆どのキノコに含まれるのに、舞茸やナメコ、ついでに松茸には含まれていなかったりします。
・・・あくまで、手元の資料による処でありますが★
きのこ椎茸には、胃腸の動きを活発にする不溶性食物繊維が多く含まれ、これはダイオキシンや水銀などなど、人体に有害な物質を排出する効能まであり、含まれるレンチオニンとグアニル酸には、血液サラサラ効果も(!)
血液サラサラ効果は、干し椎茸により多く含まれているとか、活用したいモノです。

また、舞茸には特有性分である「マイタケDフラクション」が含まれ、ナチュラルキラー細胞を活性化させ、免疫力UPの効果があり、抗ガン作用もあるという優れモノです。

また、エノキタケは昨今「ダイエット効果」があると、大流行りしていますよね。
「βーグルカン」を含む、キノコキトサンです。
キノコキトサンは多糖類で、キノコに含まれる食物繊維の一つ。
えのき氷解毒や排毒、免疫力向上、細胞の活性化、抗菌抗カビ、整腸、癌細胞抑制、血管細胞活性化、高血圧防止など。
・・・ここまで来ると、スーパーヒ―ローですね。(^_^;)
「エノキ氷(ミキサーにかけ、一度加熱してから冷凍します)」が有名ですが、市販品もあるらしいです。

・・・と、ここまで来ましたが、エノキとナメコ、舞茸は生食しないそうなので、ご注意を。
現在の茸類は、殆どが養殖品で「無菌で育てているようなモノ」なので、土に触れて育ったモノ以外は「流水で洗わない方が清潔」なのだとは、飯嶋先生の談。
今年も、秋を満喫致しましょう。

鮭の栄養と効能

おもな栄養成分

タンパク質、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE
アスタキサンチン、タウリン、トレハロース、コラーゲン(皮部分)

おもな効能

高血圧予防、痴呆症予防、動脈硬化予防、眼精疲労緩和、老化予防、がん予防、生活習慣病予防
コレステロール代謝促進、肝臓強化、骨粗鬆症予防

キノコの栄養と効能

おもな栄養成分

食物繊維、ビタミンB類、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、抗酸化作用など
※個別的には、上記に記載

おもな効能

抗便秘作用、血清コレステロール低下作用、血糖値の改善作用、動脈硬化予防、心疾患予防、
糖尿病予防、腸疾患予防、成人病予防、皮膚の老化防止、細胞の活性化