林先生に、女性の殺陣指導員免状を戴いて10年余り。
・・・始めた頃は、ただ先生に教わった事ばかり伝えていたんですが、なかで「おや?」と思う事などもございます。
林流の殺陣のレッスンには、侍の所作、立居振舞の指導を取り入れています。
その中で、「侍は、道の真ん中を歩きます。相手が自分より身分が上なので、すれ違う時には、こちらが左に寄って道を譲ります」
・・・などと説明をしていると、生徒達からはこんな質問が。
「向こうから来るのが、どうして自分よりエラい(つまり家禄が高い)人だと判るんですか?」
・・・士農工商、身分制度に家禄制。
江戸時代の所作事のレッスンを請け負うからには、その辺りの事情を判らないでは、先生とは呼べませんよね。(^_^;)
世の中に殺陣の講師をする人は数々あれど、林流みたいに、所作のレッスンまでする教室はありません。
当時は、自分が殺陣のHPを作成している事もあって、「殺陣エッセイ」みたいなのをそこで連載してました。
ついでに思い付きから、「所作事を、物語形式で紹介する小説」も手掛けましたが、さすがに自分の知識だけでは足らないので、いわゆるハウツー書物を読んだりして参考にしました。
それで思ったのが、勝手になんだか知ってるように思ってるだけって事がけっこうあるということです。
「ご挨拶」でもお話してますが、この「ねんきら」では、昔から現代へと繋ぐメニューとして、江戸時代からあるレシピを紹介しています。
・・・それは「何とか藩主の愛したメニュー」や、池波正太郎さんの鬼平の料理(全巻読んでます★)にも、ものすごく心惹かれるモノはあります。
ただ、五鉄の軍鶏鍋やらも良いけど、下々の私にはまず軍鶏が手に入るか判らないし、せっかくならスーパーにある材料で自分で再現出来たら楽しいかと考えたからです。
皆さんもご存じ、江戸は徳川家康以来、武都として建設されてきましたよね。
まずは徳川を護るためにも、大名屋敷に平らかで暮らしやすく、しかも巨大な土地を取られてしまったので、庶民が暮らす場所はわずかながらに。
・・・そんな庶民が移り住んだのが、テレビで良く出てくる裏長屋です。
狭いスペースをしかも、なるたけ多くの人を住まわせてしまおうと考えるわけです。
なので、現在のアパートみたいな感じですが、一部屋の広さは、九尺二間(9しゃく2けん)。
・・・つまり、間口が九尺(2.7M)で奥行きが二間(3.6M)。もちろん、一間きりです。
この一間に(大体、四畳半程度の大きさ)に、独り者ならまだしも、一家族暮らします。
・・・狭いながらも、その中には一応は土間(玄関)があり、あれば台所には、カマドがついています。
また、住居部分には押し入れがありません。なので、持っている家財や行李や夜具は、部屋の隅に積んで衝立(ついたて)で隠すこともあるよう。
・・・中には、夜具は風呂敷のようなモノに包んで、天井高く吊り上げるといった住人もいたみたいです。こんな処は、ぜったいにドラマでは映し出されない情景ですよね。(^_^;)
このエッセイでは、さまざまなテーマでお話をしていきたいと思っています。お楽しみいただければ、幸いです。
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