自然呼吸法を取り入れたこの体操は、もう40年も前に林先生が考案されたもので、林先生は『全身を緩める運動』と名付けていました。
自然呼吸なので、まずは鼻から吸って口から吐く。そして身体が伸びた時には息を吸って、縮んだ時には息を吐きます。末端の関節から徐々に緩め、全身にその緩みを伝えていく。
林先生ならではのアイデアで、そこには日本古来から伝わる武術の技が入っています。
この体操は、最後は「足裏呼吸法」で終りますが、呼吸に始まり、呼吸に終る。・・・どんな体操もそうですが、林流では特にその部分に着目をしています。
足の裏の土踏まず、「湧泉」と呼ばれるツボから水を吸い上げるようなイメージで息を脳天まで吸い上げ。
吸い過ぎると脳に良くないので、一旦鼻から息をもらし。
今度は口から、脳天まで吸い上げた息を湧泉から流れ出すイメージで息を吐きます。
イメージし易いように、外から内にかき分けるように両手を使いますが、息を吸う時には天井まで両手をかきあげ、息を吐く時には、林先生曰く、天辺から両手を下に下ろしながら上から下へ、まるで断層写真のように自分を浄化するイメージで息を吐き出すとのこと。
手を使わず、この呼吸法だけで行うなら、電車の中でも寝ていても、どんな場所でも行えます。
人間の肺は怠惰で、通常は1/3程度しか使っていないのだそうですが、この呼吸法は肺を100%使います。酸素吸収量が格段に違うので、この呼吸をするだけで、目の前が明るく見えるほどにも感じることもあります。…具合の悪い時は、呼吸が浅くなっている場合が多いので、これだけで気分がすっきりとするんです。
林先生曰く、「タダで出来る健康法」なんだそうです。
まずは、相手に手をつかませます。
外れないように左手で押え、右手は小指の方から右回し
指先を相手のオヘソに向けて斬り下ろすと、こんな技
またこの運動には、先ほどもいったように日本古来から伝わる技が入っています。
手首技が3つ、「技を使う為の、身体の使い方を教える」技が1つ。
手首技の1つを写真で紹介していますが、この体操ではまず、自分で自分にかける事で技を覚えます。自分が痛いくらいでないと、人にかけても、その技が効かないという事もあります。
ですが、これはヨガのインストラクターの方に聞いたのですが、「手首を曲げる事にも、また意味がある」のだそうです。自律神経に効く方向もあるそうですが、肩コリの方は足首や、手首までも硬いのだとか。
せっかくなので、何かの折にも役立つかも知れないし(?)自分に技をかけることで、身体を柔らかくするのも良いかもしれません。
この体操のモットーは、『楽にやること』。
肩が痛い方、腰が痛い方などは、出来る範囲で行って戴いて大丈夫です。
自然呼吸法で、意識して関節を動かし、緩めて行きます。全部で3分しないで終るくらいで、終る頃には身体全体がほぐれています。
ツボを刺激する部分もあるので、身体も少し温まります。腕が振り回せる位、両腕が上に伸ばせる程度のスペースがあればいいので、畳二枚もあれば十分に出来ます。
この体操は、マガジンハウスより本が出版(2013年9月)になりました。せっかくなので、そちらの本なども眺めながら、たくさんの方にこの体操を楽しんで戴けたらと思います。
・・・そしてこのHP開設当初より、林邦史朗先生には健康アドバイザーを務めて戴いていたのですが、ご病気で2015年10月29日に亡くなられました。
ですが、このHPの管理人である山野亜紀にとって林先生は、健康についてであれ、立ち回りについてであれ、時代劇であれ。
総てのアドバイザーであり、スタート地点でもあられた方でしたので、このHPでは林先生には永遠に、アドバイザーであって戴きたいと願います。