「八重の桜でやっている薙刀は、どこかの流派で行っているモノですか?」
・・・こんな質問が、今年のGW辺りからNHKの方に届くようになったのだそうです。(^_^;)
今も会津では薙刀の稽古がさかんなのだそうですが、その稽古などで使用されているのは「試合用」として「全日本なぎなた連盟」で制定され、販売されている薙刀のようです。
刀身は竹、柄部分が樫の木で長さは、210〜225センチ。
そして剣道なら、「面(喉含む)・胴・小手」が決め技。
当然、その部分に防具を付けますが、薙刀にはもう一つ、「すね」がありますので、剣道の防具の他、「すね当て」も付けて試合に臨みます。
この試合用の薙刀の他に、「八重の桜」の撮影でも使用されている稽古用の薙刀があります。
すべてが樫で出来ている木製の稽古用薙刀は、現在も、全日本なぎなた連盟が制定。
こちらの方は、長さは7尺(218センチ)と定められています。
・・・ちなみにお値段、試合用のが8千円くらいですが、稽古用のは「樫の木オンリー」なせいか、1万2千円くらいと、お高い。
ニュースで流れる薙刀の稽古のシーンでも、この・・・試合用の薙刀を使っていることが多いのは、もしかして、この若干の値段の差のせいなのか。
・・・うーむ。(^_^;)
試合用の薙刀だけでも十分に稽古は出来ると思うので、特に分けて何とかする程でないと思ってしまえば、こちらの方だけで済ませもアリかと思いますが★
・・・はてさて。
そんな訳で実は、私こと山野亜紀自身も・・・そんな訳でなんとなく、「試合用の薙刀」本物だと思っていたんです。
ただ私の実母は、昭和3年の産まれ。
かの戦時中には、薙刀の鍛錬とかやって過ごした女性でありました。
空襲で、「当時暮らしていた家」が燃え落ちる事が無かったので、そういえば実家には、樫の木製の薙刀が一振りありました。
・・・それまでは樫の木オンリーの薙刀が使われていたそうで、昨今よく目にする試合用のは、調べてみると戦後になってから作られたモノのようです。
さて薙刀、薙刀と仰いますが、古流の流派は総合武術なので、「〜流」の中に、剣術や水練(鎧を付けても泳げる古式泳法のこと)、弓術などがあり、その一つとして「薙刀術がある」といった具合です。
通常の殺陣師さんは、中には好んでこういった流派の剣術や体術を修行する人もいるそうですが、ほとんどがこういった勉強はしない方ばかりだと、林先生からは聞いています。
殺陣は、その原点が歌舞伎にあるので、踊りのように振り付けたモノを演者が演じますが、それだけでは済ませてくれないのが師匠の林流です。(^_^;)
・・・何しろ、時代考証にこだわるのがNHKさんなので、その50作品以上に渡る大河ドラマの殆どを振り付け、携わった師匠としては、例えば『春の坂道』なら柳生新陰流の宗家(つまり、家系の当主とか本家とか言われるトップの方)をNHKさんが、番組の指導として、お呼びします。
・・・そしてそこは。
やはりそういった方は自分の流派をより良く伝えて欲しいと思われるでしょうし、指導する方はやはり、熱も入ります。
こういった指導が、剣術だけではありません。
例えば火縄銃やら弓術、忍者、手裏剣術、町方ならば十手術などなど★
・・・あげれば、キリがありません。
その、長らくの時代の中で師匠は、さまざまな専門家と知り合い、話を聞き、時には教えを乞いにも行ったのだそうです。
・・・そんな林先生ですが、薙刀に関してはやはり、そんなには需要がなかったせいでしょうか。
女性が扱う他は、例えば弁慶とかくらい・・・(?)
薙刀は、戦国時代に一度すたれていきます。
槍が戦場の主戦力になって来ますので、映像で使われるのは、他には、比叡山焼き討ちの折の僧くらいでしょうか。
なので私こと山野亜紀は、1996年から林流で殺陣を習い始めたのですが、その当時は林先生創作の「薙刀の型」という、1人で敵を想定して行う稽古法のみで、組手はまだありませんでした。
組手(約束組手ともいう)は、1人対1人で行う練習方法で、あらかじめ手が決まっているので、あぁ来たらこう受けて、こう来たらこんな対処をして…と身体を慣らしていって、決め技で終わります。
「八重の桜」でも二人一組で稽古をしているシーンがあったと思いますが、アレです。(^0_0^)
あとは先生が振り付けた殺陣を稽古するといった感じ…だったのですが★
本日、その時がやってきたのです・・・。(-“-)
具体的な日付けは忘れましたが、やはり2003年放送の市川新之助(現・海老蔵)主演の『武蔵〜MUSASHI〜』辺りから、だんだん空気が変わってきました。
なにしろ『武蔵』のドラマときたら、これも時代考証にこだわるNHKさん(!)です。
やれ、柳生新陰流はもちろん、宝蔵院流は出るわ、武蔵考案の二天一流も忘れてはいけません。
・・・夢想権之助の出演の折には、現在の日本警察で警官が持っている「杖(じょう)術」の稽古が行われ、当時の私にとっては、大変に難しくて泣いたものでした。(^_^;)
・・・その辺りでか。
「原点に帰れ」とばかりに、林流の殺陣の稽古場では、日本で一番古い流派と言われる「香取神道流」の稽古まで始ったんです・・・。(-_-;)
・・・まさに、「じぇじぇじぇ(!)」です・・・。
新しい流派は、過去に起こった流派を模す場合も多いとの事で、いや、今でもこの「原点」は稽古に取り入れられています。
この辺りで、林先生が古流の薙刀術と独自の発想で編み出した「薙刀十二本組手」が発祥しました。
「八重の桜」では、まずは資料としてこの組手を参考に、監督さんとも相談をして、あぁでもない、こうでもないという感じで出来あがったのが、あれらの殺陣シーンです。
ありがたい事に、主演の綾瀬はるかさんや宮崎美子さん、秋吉久美子さんなどなど、みなさまに「大変だけど、楽しい」と言って戴けて、私も稽古でご一緒できるのがとても嬉しかったです。
・・・あ★
本番でも「女性が薙刀の稽古をしているシーン」では、道場の師範代の役で一応、私こと山野亜紀も出演してました。
NHK「八重の桜」では、激動の会津から明治へと時代が様変わりしますが、「八重の桜」の薙刀シーンの組手などは幾つか、当方で販売をしている「林流 殺陣・弐段〜長物編」に収録されています。
興味のある方は、挑戦してみるのも面白いかと思います。